ニョロ系クランクのハンドメイドTips

 自分で作ったルアーで魚が釣れたら、ホント楽しいですよね♪(^_^
 私自身これまでハンドメイドのルアーを実際にたくさん作ってきた中で考えが整理できたことや、いざ手を動かしてみて初めて気が付いたこと、同じものを複数作るための自作の治具など、今では1冊の本にできそうなくらいの知見が溜まりました(^^)
 ちなみに、私が書く内容ですから、対象は管釣りで使うニョロ系クランクのお話です。
 その中の一部をご紹介したいと思います。(話が長いですw)

 今回の内容は、そもそも「釣れるルアーに必要な要素とは?」から始めてみましょう。

 私が考える管釣りで釣れるルアーとして一番重要な点は「デッドスローの一定巻きで、魚のバイト層をゆらゆらと一定のアクションで引ける(★)」ことだと思っています。(もちろん、いつも・必ず・絶対に、これが効くというわけではありません。リアクションの早い釣りが効く時も結構ありますが、「★」を抑えておくことの方がより釣果が伸びると信じています。なので今回は「★」のお話になります)

 では、「デッドスローで引いた時に(わずかな引き抵抗でも)揺れるか揺れないか」の違い(分岐点)って何なんでしょうか。
 わずかな引き抵抗でも揺れる = バランスを崩しやすい  ・・・・と私は考えます。
 
 ルアーがアクションする際の挙動を分解してみると下記のようになります。
1)前方に引っ張られ水をリップに受ける
2)リップにあたった水が左右どちらかに逃げる(これは水の当たる角度のホンのわずかな違いだったり、ボディーの左右方向のウエイトの微妙なズレ、リップの取り付け角度の微細な左右の違いだったり、要因は様々だと思います)
 →どちらにも偏って逃げない=左右均等に逃げる場合、全くアクションしないで棒引き状態でリトリーブされてきます(笑)
3)片方に振られたボディーがその限界点までいくと逆に復元力が働き、その逆方向に切り替えて揺れる
 →ここで復元力が働かないくらいトータルバランスが悪いと、ルアーがぐるぐると回転してしまい、使い物になりません。
4)上記の繰り返し・・・・。

 この過程を考えてみると、「動き出しのいいルアーはバランスを崩しやすいルアー」であり、かつ、「復元力を維持できるルアー(=単にバランスが悪いだけではダメ)」であることが必要となります。
 言い過ぎ感のある表現ですと、「デッドスローで引いてもよく動くルアーはバランスの悪いルアーと紙一重」なのです。
 

 では、いかにバランスを崩しやすく、かつ復元力を維持した状態を作り出すか、を考えてみます。
 ここからは、ある程度具体的なルアーの構造の話です。
 

 ニョロ系ルアーは、その構造から「★」の状態を作りやすい形状だと考えられます。(この形状を最初に考え付いた九重FRの古味さんは天才です!)
 ここで、いったん「バランスを崩す」のとは真逆の「バランスを崩さない(=安定した状態)」の方を考えてみます。
 への字形状でバランスを安定化させるためには、下図の黄色い部分に重いウエイトを仕込むのが一番です。重心を下に下に持って行く、オモリが重ければ重いほどボディーバランスは安定します。

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 ここからバランスを崩す方の要素にずらしていきます。
a)黄色いウエイトを軽くする
b)ウエイトを緑色の位置のように上にずらす(重心を上方向にずらす)
c)浮力のあるボディーの体積を減らして浮力を減らす
 
 一番安定した状態から上記a~cの要素の複合で、バランスを崩しやすく復元力を維持できるギリギリまでを試行錯誤します(笑)
 こればっかりは、実際にたくさんパターンを作ってみて、その効果を検証してみる以外に(絶妙なバランスを見つける)手立てはありません。
 とは言え、やみくもに何も考えずに作り続けるということはしないでしょうから「このパターンで作ってみて、こうだったから、今度はウエイトを少し増やそう(なのか、ウエイトの位置を上にずらそう)」などと試してみるのもホント楽しいです。
 注意点は、(結構面倒くさいのですがw・・・・)それぞれのパターンレシピをきちんとナンバリングして書いておく、ことです。これをやらないと再現性がなくなりますし、何が良くて、何が悪かったのかを振り返ることができません。
 

 ちなみに、私がMくらを作ってきた中で感じることとして、「★」を実現するフローティングクランクを作るのは結構難しい、ということがあります。逆に言うとシンキングクランクの方がハズしが少なく(それなりに泳ぐルアーとして)作れます、ということです。
 フローティングって、グイグイ(もしくはゆっくりと)潜行していきつつもデッドスローのリトリーブで破たんしないボディーバランスの「レンジ・許容の幅」が狭いのです。しかも狙ったレンジに届いて、かつそこをキープしやすいように作るのがこれまた難しい・・・。
 シンキングの場合(ボディーバランスを絶妙に崩して復元力も維持できる)レンジが比較的広く、ある程度無難に泳ぐものが作りやすいと思います。(←「ちょっと何言ってるのか分からない!」と突っ込まれそうですね(^_^;)すみません)
 

 と、まぁ、自分の中にある「感覚」をテキストに表現するのはホント難しいですね(汗)。
 ハンドメイドを始めたかたに少しでも参考になればいいのですが・・・・(^_^;)