KMくら考

 今秋にもBORDERさんから発売されるKMくら(「かむくら」と呼びます)。この製作について、今回微力ながらご協力の機会をいただきました(^^)
 商品としての販売予定やカラーラインナップ、スペックなどはKAYAさんからアナウンスがあると思いますので、ここでは割愛。
 一方で、「KMくらってどんなクランクなの?」というコンセプトや使い方については私からお知らせするのがいいと思いますので、ちょっとご紹介させていただきます。


 KMくらは、一言でいってしまうと「KAYAクラの製法・テイストに、Mくらの知見を融合させたニョロ系クランク」、平たく言ってしまうと、「KAYAクラとMくらの合体」ですw。
 私が関与するくらいですから、ロングニョロ系ルアーになるのは避けられない(笑)のですが、その"エキス"をいかにプラスチックインジェクションで再現できるか、が最大の焦点だと思っていました。

 

 ちょっと横道にそれてしまうのですが、私なりの長ニョロに関する見方を共有させていただきます。


 長ニョロがどうして釣れるのか・・・・。それはやはりスローに引いてゆらゆらと一定に動く、このアクションがマスの興味を強烈に引くから、だと思います。これが一つ目のポイントです。
 特に、ハンドメイドで多用されるバルサやハードウッド素材の場合、プラスチックインジェクションでは出せない「浮力の強さ」がすごいアドバンテージになります。
 元々浮力がありつつも、ウエイトをうま~く配置してその浮力を「殺す・抑え込む」ことで、軽~く引いても揺れる動きが体現できるのです。

 

 もう一つは、「長いからこそ出せる独特の水押し・波動」だと思っています。これは上記の「スローに引いてゆらゆら」と被っている要素かもしれませんが、あえて別観点で触れておきます。
 短い・丸いクランクはどうしても「動く」際に、程度の差こそあれ「プリプリ」から「ブリブリ」と小刻みに水を押します。ご存知の通り魚は(視覚による把握もある程度はあるようですが)身体の側面にある触覚「側線」で感じられる情報を基に反応を示します。
 ロングニョロ系クランクは、ゆっくりと優しい動きが出せるため、その側線への刺激が心地よいのではないかと(人間の私は)想像します。強すぎず/弱すぎず、ですね。

 


 閑話休題

 

 ルアーを長く作ることは簡単にできます。しかしプラスチックでは上記でいう「元々の浮力」がないため、「スローに引いてゆらゆら」を実現するのがとっても難しいのです。
 KMくらの場合、プラスチックにも関わらずこれが非常にバランスよく形になっています。(自分で元の型をデザインしていながら)これには驚きました。
 プラスチックインジェクションなのに「スローに引いてゆらゆら」をホント上手く実現してくれました。BOADERさんスゴい!(^^;)

 

 KMくらのリトリーブは「デッドスローの一定巻き」が一番釣れると思います。(とはいえ、ちょっとした使い分けができるので、これは後日お知らせします。)
 引くレンジは、ロッドの高さで調整してください。これらはMくらなどニョロ系クランクと全く同じ使い方です。
 正直、早巻きすると泳ぎは暴れます。元々早巻きの釣りで使う想定ではないので、暴れない範囲でリトリーブしてください。それが一番釣れますので(^^)
 
 今回、初期プロトの実物を使ってみて、結構重いなぁ、というのが率直な感想でしたが(^_^;)、何回か投げていると、これが実にハマる(クセになる?w)ことに気が付きました。
 とにかくロングキャストできる一方で、上記のように動きは軽やか。今まで届かなかった沖の魚に簡単にアプローチできます。これはスゴいメリットだと感じています。


 さらにニョロ系クランクをプラスチックで商品化できたことで、バルサ素材(=ハンドメイド)にはないメリットを享受できるようになりました。
 それは・・・・・・「透過カラーが塗れること」です。
 プロショップさんの有名カラーですと、オオツカさんの神楽・美鬼、アイランドさんのカフェコーク・天照・THパンツァーなど、光の透過を巧みに利用したカラーがたくさんありますが、バルサハンドメイドではこれが無理なのです。プラスチックのKMくら・・・、今後、いくつかのショップさんのオリカラを塗っていただく場面があるかもしれません。これもまた楽しみですね(^^)

 

 もし実物に遭遇しましたら、「モノは試し」でよろしくお願いいたしますm(_ _)m